2011年1月3日月曜日

ブロッキングの方式

ブロッキングの方式にはいくつも種類があります。比較のポイントは、ネットの中国化阻止、ネット検閲の濫用の阻止です。

1、DNSポイズニング方式

【長所】
①ブロッキング設備の整備費用が安価であるため、中小のISPが多い日本では、非常に現実的な方式。
②知識と技術があれば、回避が可能である。そのため、知識と技術のある人であれば、ブロックされたサイトが本当に児童ポルノサイトかどうかを確認することが可能である。したがって、国による濫用が困難である。

【短所】
①オーバーブロッキングは不可避的に発生する。
②知識と技術があれば、回避が可能である。←→ただ、回避には手間がかかるので、回避した場合には、児童ポルノサイトとわかっていてアクセスしたことになるため、犯罪の立証が極めて容易となる。それゆえ、回避が可能であるものの、児童ポルノの取り締まりという点では大きな効果を発揮する。

【寸評】
現時点では、現実的な方式。国による濫用がしづらいという大きな利点を持つ。国による濫用に強い警戒感を示す北欧諸国で広く取り入れられている。不十分ではあるものの、この方式でブロッキングを実施すれば、欧米並の児童ポルノ対策を施したことになるため、国際的な義務を果たすことができる。


2、ハイブリッド方式等その他

【長所】
①オーバーブロッキングが発生しにくい。
②回避が困難。

【短所】
濫用が容易。回避が困難である。そのため、知識と技術を有する人間であっても、ブロッキングの対象となったサイトが本当に児童ポルノサイトであるかどうかの確認を行うことは事実上不可能である。そのため、濫用された場合に、誰も濫用の事実を確認することができない。
②費用が極めて高く、非現実的と言われる。多くの中小ISPが倒産すると言われている。その結果、重要な情報インフラを担うISPを特定の企業が独占する事態を招きかねない。

【寸評】
DNSポイズニング方式を採用すれば、国際的な義務を果たすことができる以上、ハイブリッド等の方式を採用することまでの必要があるのかは疑問。欧米並の規制を超えて、濫用の恐れのある中国並の強度の規制を導入する必要があるのかは、議論の余地があろう。