2011年1月4日火曜日

※当ブログの内容は、無断リンク・無断転載自由です。煮るなり焼くなり好きな様に使ってください。ブロッキングの危険性を広く知ってもらえるなら、どのような使われ方をしても結構です。

このブログは、民主党内閣の閣議決定により、実施が決まった「ネットのブロッキング規制」について説明するブログです。

<目次>

1、ブロッキングとは?~なぜ、ブロッキングは危険なのか~

2、まとめ~全部読むのが面倒な人用です~

3、ブロッキングの方式

4、ブロッキングの重要な争点

5、今後予想される注意すべき展開

今後予想される注意すべき展開

まずは、業界の自主規制、方式はDNSポイズニング方式、対象は児童ポルノ情報のみとしてブロッキングが開始されます。もっとも濫用が困難な状態からスタートします。つまり、法規制ではなく、行政指導の下行われる業界の自主規制であるため、国が関与するアドレスリストの作成が濫用された場合に一部ISPがブロッキング規制に従わないことも可能です。他方で、国による監督が常に入るため、民間業者の濫用も防げます。国と民間が相互に監視しあう状態が保たれている状態です。さらに、方式、対象とも濫用が困難な必要最低限のものからスタートします。

~今後の展開~

第1
最終的に、反中国の総本山である2chの閉鎖をもくろむ国(特に、一部の強硬な親中派官僚)は、対象範囲の拡大を求めてくるでしょう。つまり、法的根拠について緊急避難説を否定して、正当業務行為説を主張してきます。

その際の理屈は既にわかっています。「緊急避難説では、ブロッキングはあくまで他に規制手段が無い場合の最終手段となる。そのため、削除要請に応じない児童ポルノ画像しか遮断できない。したがって、削除要請をしている間に、どんどん児童ポルノが流通してしまい、児童の保護という観点からは不十分になる」と主張してくるでしょう。これは正当業務行為説を唱える親中派が常々主張していた批判です。彼らは本当は児童保護なんてどうでもいいのですが、児童ポルノの被害から児童を守るという強力な建前を武器に対象範囲の拡大が容易な正当業務行為説を唱えているのです。

そこで、この批判をかわし、いかに緊急避難説を実務や裁判で定着させるかが重要になってきます。

<※※超重要※※>、私は、この批判は容易に回避できると思います。なぜなら、例え一時的にせよ児童ポルノが流通することは児童の生命侵害に等しい被害を与えるものだと考えれば、緊急避難説でも即時遮断が可能だからです。

少し、難しいですが、この理屈は理解しておいてください。今後、この点が最大の議論の焦点になってきます。超重要ポイントです。特に、上記の超重要と書いた反論は非常に重要な意味を持っていますので、覚えておいてください。

第2
他に考えられる展開としては、自主規制を法規制にするというものです。ブロッキングに慎重な有識者の間でも、見解が分かれている問題ですが、濫用の恐れのある方式への変更はガンガン批判するべきです。キーワードは「濫用の危険性」「北欧諸国で行われている規制よりも、強度な規制をする必要があるのか?濫用され、ネット規制が中国化するだけだ」

第3
また、DNSポイズニング方式を他の方式に変えようという流れも予想されます。国は他の方式に変えたがっています。しかし、濫用防止という観点からは、DNSポイズニング方式が望ましいのは他のところで述べたとおりです。なので、DNSポイズニング方式が採用されている間はオーバーブロッキングの恐れという批判は控えましょう。そして、他の方式が採用された場合には、「人為的なオーバーブロッキングの恐れ」「濫用のおそれ」という批判を思う存分にかましてください。人為的なオーバーブロッキングとは、リストに意図的に適法なサイトを紛れ込ませるということです。つまり、濫用と同義と考えてください。

ブロッキングとは?~なぜ、ブロッキングは危険なのか~

ブロッキングとは、特定のサイトへのアクセスを不可能にする規制です。
フィルタリングとは違い、大人になっても解除することはできません。永遠にアクセスは不可能となります。

このように、アクセスが不可能になるため、一度濫用されると歯止めがききません。なぜなら、誰も閲覧することができない以上、本当に対象となったサイトが児童ポルノサイトなのかを誰も確認することができないからです。さらに言うなら、閣議決定により対象サイトのアドレスリストは非公開とされることになりました。つまり、濫用されたもうおしまいです。誰も止められません。

したがって、いかにこのような濫用を防止するかが重要になってきます。しかし、濫用を防止するのが難しいのがブロッキングの特徴でもあるのです。

ちなみに、ブロッキングを濫用しまくっている国が、中国です。サイトに「天安門」と書き込んだだけで、誰もアクセスできなくなります。

親中派の政権にブロッキングが濫用されたら、間違いなく反中国の総本山である2chは閉鎖に追い込まれるでしょう。

2011年1月3日月曜日

まとめ

民主党政権下で閣議決定により実施が決定されたブロッキングについて、本サイトに書いてあることのまとめです。

【キーワード】
重要な点は、①中国並のネット検閲の阻止、②ブロッキングの濫用防止、③政府による2ch閉鎖の阻止という点です。

【ブロッキングの方式】
ブロッキングの方式は、DNSポイズニング方式がいちばんマシだと思います。オーバーブロッキングが生じるという難点はありますが、国による濫用が困難だからです。濫用が容易な方式を採用するくらいなら、たとえオーバーブロッキングが生じたとしても、DNSポイズニング方式を採用するべきでしょう。

【法的根拠・・・超重要!!!
 法的根拠は緊急避難説をとるべきです。この説をとれば、安易なブロッキングは憲法違反となるため、たとえ親中派の危険な政党が政権をとっても、ネット上の言論弾圧は困難となるからです。有識者が唱える立場であり、現在はこの立場でブロッキングが行われる予定です。
 これに対して、民主党政権下で国が強硬に主張していた正当業務行為説だと、親中派の危険な政党が政権を取った場合に、容易にネット言論の弾圧が可能となります。反中国の総本山である2chはすぐに閲覧禁止となり閉鎖に追い込まれるでしょ。非常に危険な立場であり、ブロッキングが行われている北欧諸国ではこのような立場はとられていません。児童ポルノを遮断するためには、緊急避難説で十分であり、この説にこだわる理由が理解できません。別の意図があるとしか思えません。

児童ポルノについて世界一厳格な規制を行っているといわれる北欧諸国ですら緊急避難的に対象を児童ポルノに限定して行われています。これ以上のブロッキングはまさに濫用の危険が高いからです。果たして、北欧以上のブロッキングを行う必要があるのでしょうか?もはや、児童保護は建前になっていませんか?これ以上は、もはや中国並のネット検閲といえませんか?このような検閲手段が親中派の政権に与えられたら、どうなるかは容易に想像つきますよね?

ブロッキングの方式

ブロッキングの方式にはいくつも種類があります。比較のポイントは、ネットの中国化阻止、ネット検閲の濫用の阻止です。

1、DNSポイズニング方式

【長所】
①ブロッキング設備の整備費用が安価であるため、中小のISPが多い日本では、非常に現実的な方式。
②知識と技術があれば、回避が可能である。そのため、知識と技術のある人であれば、ブロックされたサイトが本当に児童ポルノサイトかどうかを確認することが可能である。したがって、国による濫用が困難である。

【短所】
①オーバーブロッキングは不可避的に発生する。
②知識と技術があれば、回避が可能である。←→ただ、回避には手間がかかるので、回避した場合には、児童ポルノサイトとわかっていてアクセスしたことになるため、犯罪の立証が極めて容易となる。それゆえ、回避が可能であるものの、児童ポルノの取り締まりという点では大きな効果を発揮する。

【寸評】
現時点では、現実的な方式。国による濫用がしづらいという大きな利点を持つ。国による濫用に強い警戒感を示す北欧諸国で広く取り入れられている。不十分ではあるものの、この方式でブロッキングを実施すれば、欧米並の児童ポルノ対策を施したことになるため、国際的な義務を果たすことができる。


2、ハイブリッド方式等その他

【長所】
①オーバーブロッキングが発生しにくい。
②回避が困難。

【短所】
濫用が容易。回避が困難である。そのため、知識と技術を有する人間であっても、ブロッキングの対象となったサイトが本当に児童ポルノサイトであるかどうかの確認を行うことは事実上不可能である。そのため、濫用された場合に、誰も濫用の事実を確認することができない。
②費用が極めて高く、非現実的と言われる。多くの中小ISPが倒産すると言われている。その結果、重要な情報インフラを担うISPを特定の企業が独占する事態を招きかねない。

【寸評】
DNSポイズニング方式を採用すれば、国際的な義務を果たすことができる以上、ハイブリッド等の方式を採用することまでの必要があるのかは疑問。欧米並の規制を超えて、濫用の恐れのある中国並の強度の規制を導入する必要があるのかは、議論の余地があろう。

ブロッキングの重要な争点

民主党鳩山内閣の閣議決定時に重要な争点となった事項です。

1、法的根拠 ※「正当業務行為」、「緊急避難」はともに法律用語です。この争いは極めて重要!!!これで全てが決まる!

【国側の主張・・・正当業務行為説】

(1)特徴
憲法に定められた「通信の秘密」を全く守ろうとしない立場です。ブロッキングを正当業務行為として行えるという説です。基本的に、運用次第で、政府に都合の悪い情報を全て遮断することができます。ヨーロッパ諸国では広くブロッキングが普及し始めていますが、正当業務行為説のような危険な立場をとる国はありません。いかに、危険な立場であるかがよくわかると思います。ちなみに、中国はこの立場といわれています。

(2)ブロッキングの例
例えば、youtubeに流出した尖閣ビデオの閲覧を不可能にすることができます。それどころか、流出したこと自体を国民にバレずに処理できます。

例えば、2ch掲示板をブロッキングすることもできます。ご存知、2chは反中国の総本山と言われる掲示板です。そのため、親中派の政権にとっては憎い存在でしょう。それを簡単にブロッキングの対象とし、閉鎖に追い込むことができるのです。国側の機関である児童ポルノ流通防止協議会のメンバーであった元官僚は2ch閉鎖をにおわす発言をしていたことから、正当業務行為説をとる人は、2ch閉鎖の意図があるといわれています


【濫用を警戒する有識者側の主張・・・緊急避難説】

(1)特徴
①憲法に定められた「通信の秘密」を尊重する立場です。この立場によると、ブロッキングはあくまで「通信の秘密」という極めて重要な憲法上の利益を上回る利益を守るためにのみ認められることになります。具体的には、人の生命に危険を及ぼすような情報やそれに匹敵する重大な情報のみ遮断できます。

②この立場によると、児童ポルノは児童の生命を侵害するに等しいだけの重大な利益を侵害する情報にあたるため、児童ポルノに対してブロッキングを行うことが可能となります。

③この立場によると、ブロッキングの濫用や対象範囲の安易な拡大は憲法違反になります。そのため、どのような政党が政権を握っても、ブロッキングを濫用することが極めて困難になります。


(2)ブロッキングの例
・言うまでもなく、児童ポルノをブロッキングすることができます。

・今後、爆弾テロのようなものがおきた場合に、爆弾の作り方を書いたサイトまでブロッキングの対象を拡大しようという議論が起きることが予想されます。爆弾の作り方を書いたサイトは、まさに国民の生命にかかわるものです。それゆえ、対象を拡大して、こういったサイトまでブロッキングの対象とすることは可能でしょう。

2、各説への批判

【正当業務行為説への批判】

①国が厳守すべき憲法上の利益を極めてないがしろにしている。
②濫用が極めて容易になる。
③世界的な流れとして、ここまでのブロッキング規制は求められていない。児童ポルノのみを対象とすれば、諸先進国からの要請に答えることができる。
④緊急避難説が行う以上のブロッキングは、中国並の検閲になってしまう。
⑤対象範囲が無制限に拡大され、ISPの負担が億単位で増加する。そのため、極めて資金力のある大企業しかISPを運営できなくなってしまい、特定のISPが市場を独占することになる。

【緊急避難説への批判】

・削除要請をしても削除されないような場合にのみ児童ポルノをブロッキングできることになると思われるが、その間に児童ポルノが流通してしまい被害が拡大する。

←→緊急避難説からの反論:一時的に児童ポルノが流通する場合でも、児童の生命侵害に等しい被害を与えると考えることも可能。そのため、緊急避難説をとっても、削除要請前に遮断することは十分に可能である。



 

2010年12月31日金曜日

ブロッキングにかかわる組織

【2010年、民主党内閣の閣議決定により決まった一応の組織図】

A:児童ポルノ流通防止協議会・・・事実上、国側の組織。第三者機関と言い張っているが、その運営費は国から出ているため、名ばかりの第三者機関。メンバーには天下り官僚がいるため、国の思い通りに動いてくれる。会議の非公開を要求するなど非常識な要望を何度も出しており、ブロッキングを濫用する気まんまん。ブロッキング推進派。中国のような思想統制、情報統制、2ch閉鎖を目指していると言われる。今は姿を変え、C:児童ポルノ流通防止対策専門委員会となっている。

B:安心ネット作り促進協議会・・・学者や有識者などで構成される第三者機関。児童ポルノのブロッキングには賛同するものの、国によるブロッキングの濫用を警戒している。ブロッキング慎重派。Aの団体から、疎ましく思われている。


C:児童ポルノ流通防止対策専門委員会・・・アドレスリスト管理団体を選任・監督する国側の組織。Aの児童ポルノ流通防止協議会が解体され、この組織になった。ブロッキングを濫用する気まんまんの児童ポルノ流通防止協議会は各方面から批判されたため、メンバーが多少入れ替わり、中立性が多少高まった。もっとも、国側の機関であることから、いつでもメンバーを入れ替えることは可能。中立性を保っているのは最初だけだと思われる。

D:アドレスリスト管理団体・・・ブロッキングの対象とされたサイトが本当に児童ポルノサイトなのかどうかを検証し、ブロッキングの対象とすることを決定する団体。当初は官僚の天下り団体となる予定であったが、濫用の危険があるとして、国が人事に関与できない団体となっている。その結果、国側の機関であるCやEと民間の機関であるDが相互に監視しあい、濫用を防止するとともにブロッキングの適正な運用が図られることになる。設立にはBが関与した。

E:インターネットホットラインセンター:児童ポルノ情報を一般から受け付ける団体。警察の天下り団体である。言うまでもなく国側の組織。通報を受け、児童ポルノサイトであると判断した場合に、その情報をDに送る。


<構図>
   C(A)
   |
   |選任・監督
   ↓
   D・・・アドレスリストの管理
   ↑
   |児童ポルノ情報の通知
   |
   E